2006
先週の金曜日の夜七時、スタジアムのライトに眩しく照らされたフィールドの上で、UNR対ハワイ大学の女子サッカーの試合が始まった。私は相手側のゴールの後ろの観客席に登り、望遠レンズのカメラを構える。
実は私が少し遅れて前半7分にスタジアムに入った時点で、すでにうちのUNRチームが2点も入れていた。UNRの女子サッカーは強いらしく、私が今まで撮ってきた試合では一度も負けていない。
相手のハワイ大学の選手は小柄で、アジア系が多い。選手交代で名前が呼ばれる時も、「ジュディ・オカノ」というのが耳に入ったりする。何より、常夏のハワイからこんな寒いネバダに来て、しかも今の季節すでに容赦なく冷え込む夜に試合している彼女らに同情してしまう。
私はといえば、うまく写真が撮れなくて大苦戦。初めてのナイトゲームだ。最初は撮っても真っ暗で、手動で露出を変えなきゃいけないカメラを前に途方にくれた。恥をしのんでエディターに電話しようかと思ったが、いじっているうちにどうにか人が写るようになった。
しかし、夜で光が足りなくてブレるブレる。シャッタースピードを最速(1/60秒)にしても、サッカーの見せ場なんて選手が一番激しく動いている時だから、ブレずに撮れた写真は一枚もない。その上オートフォーカス(自動焦点合わせ)が働かなくて、くそ重い望遠レンズを支えつつ、同じ手でズームと焦点のリングを同時に回す曲芸を強いられる。いや、無理だから。おまけに寒いしさ。
その後もUNRが得点を重ねていく。一度なんて、ゆるいパスみたいなのがころころとそのままゴールに入り、えー!?と思った。それでもハワイ大学のキーパーは指示を出し、皆を励まし、声をかけ続ける。残り10秒になった時、キーパーの所にボールが来た。ゆっくりとボールを拾い、試合終了のホイッスルと同時に、彼女はボールを力いっぱい蹴り上げた。
それが5-0で負けた悔しさを語っているように思え、私が撮るべきなのはUNRの選手だけなのに、そっとその背番号1番を背負った彼女の背中にカメラを向けた。
02 | 2024/03 | 04 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
31 |